今月は連日【棕櫚箒】棕櫚皮5玉手箒・上(じょう)作りをしています。意匠は銅線巻、持ち手は黒竹。複数回選別し吟味した上質な棕櫚皮のよいところだけを切り揃え複数枚重ね束ねて箒を作ります。
今年は、師匠が最後に納めてから数十年ぶりに、町内小中学校の掃除用に棕櫚箒を納めることになりました。これは数年来考えていたことでしたが、具体化できそうだと紀美野町役場の職員さんからお話をいただいたのは1年余り前。ずっと準備してきました。
こうして写真で見ると作業着に棕櫚の粉がたくさんついています。鬼毛箒や本鬼毛箒の場合はもっと少ないのですが、特に棕櫚皮箒の製作では棕櫚粉がたくさん出ます。完成した棕櫚箒はどれも綺麗なので、棕櫚箒作りは綺麗な仕事だと想像されることがあるのですが、製造過程では全身が棕櫚粉まみれになるのが普通です。私たち作り手は棕櫚粉にまみれながら、素材を吟味し汚れや棕櫚粉を落とし磨いて綺麗な棕櫚箒にしてお届けする。棕櫚箒の美しさや丈夫さだけでなく、そういった工程・過程も含めてこの仕事が好きです。