【棕櫚箒】和歌山県郷土伝統工芸品の棕櫚の片手箒の特徴について

【和歌山県郷土伝統工芸品の棕櫚の片手箒の特徴について】
製作している和歌山県郷土伝統工芸品の棕櫚片手箒には、ひとめで分かる共通した特徴があります。

片手で掃く時の動きやバランスを考えて、ほうきを形作っている束(玉)の取り付け方が、画像のように、持ち手・柄(え)に対して直角・垂直ではなく、少しななめに並ぶように作っています。

さらに、ほうきの先端・穂先は、ななめにまっすぐ裁断するのではなく、画像のように、2段階にゆるやかな角度をつけて裁断しています。

画像の片手箒は「棕櫚皮手箒・上(しゅろかわてぼうき・じょう)」とよばれる代表的な棕櫚手箒で、
いま私が製作している棕櫚の片手箒はすべてこれと共通の基本構造をしています。
(※「上」は品質を表す。品質は並・上・特上や特選などがある)
これは棕櫚箒の中では比較的新しく作られたものなので、その由来が分かっています。

元々は、昭和時代に私の師匠が考案した、学校掃除用の棕櫚皮手箒でした。
「子どもたちが木造校舎の教室の床を掃くための、軽くて丈夫で掃きやすい片手箒を作ってほしい」という依頼を受け、数十本の試行錯誤を経て完成したそうです。

それ以前の棕櫚の片手箒にはなかった構造の棕櫚片手箒で、ここ数十年間は、素材の質を上げ、多少のサイズ変更をした(子ども用サイズから大人用サイズに変更)事以外は基本的に何も変えずに、当時のままに製作しています。

師匠がこの片手箒を作ってから長い月日を経た現在は、他所でもよく似た形の棕櫚の片手箒がたくさん製造されています。
もし、すべての束(玉)が持ち手・柄(え)に対して直角・垂直に(この画像では、縦向きの点線上に)まっすぐに並ぶように取り付けてあったり、ほうきの先端・穂先が2段階ではなく、ななめにまっすぐに裁断してある場合は、和歌山県郷土伝統工芸品の棕櫚片手箒ではなく、他所で独自のノウハウで製造された棕櫚の片手箒だと考えられます。

【棕櫚箒】棕櫚皮手箒で掃き掃除
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