引き続き【棕櫚箒】棕櫚皮5玉手箒・上(じょう)の製作。意匠は麻糸巻き(リネン自然色)、持ち手は黒竹。他に銅線巻き仕様も製作。
この後、箒穂先になる部分を水で濡らし、鉄製の熊手などで柔らかい繊維状にほぐし自然乾燥。
この品質「上」手箒は、元々は私の師匠が学校掃除用に考案したものです。子どもが使うので丈夫・軽量・掃きやすい、さらに低価格を実現するために試行錯誤して出来上がった構造・製法になっています。その後、学校用でなく家庭用の手箒として求められるようになり、品質面で少しずつ改良を重ねてきました。
当時の学校掃除用の箒の場合はとにかく低コストが求められたのに加え、毎年買い替える事を前提に製作していたので、棕櫚も竹も1年使えればいいという品質で、棕櫚皮の使用量も少なく、決して何年もの使用に耐えられる物ではなかったそうです。しかし家庭用の手箒となるとそうはいきませんので、丈夫な箒の構造はそのままに、何年も使えるように棕櫚皮の品質と使用量を変え、より掃きやすく見た目も美しくなり今に至ります。師匠の代からのロングセラーで、おすすめの1本です。