製作風景-棕櫚皮の選別
製作風景-棕櫚皮の選別

まだ本鬼毛11玉長柄箒作りの途中ですが、今日は棕櫚皮を選別します。これらは地元の問屋さんが特別に仕入れてくださった上質な棕櫚皮なので、選別作業にもつい力が入ります。質やサイズ・使い道ごとに分けながら積み上げていきます。

棕櫚皮という素材自体を、見たことがないという人が多いかと思います。画像の茶色の薄い素材が、棕櫚皮箒の長柄箒と片手箒(室内用の座敷箒)の原料になる棕櫚皮です。棕櫚の木の幹の表面を覆っている樹皮を刃物で1枚ずつ剥がすと、写真のような竹の子の皮に似た形の皮が採れます。ただし棕櫚箒の原料にするには、どこに生えている棕櫚木の皮でも良いという訳ではありません。適地で原料用に栽培・管理されていない、普通にそこらへんに生えている棕櫚木の皮は厚みがありませんし傷んでいて、ほぼ100%棕櫚箒の原料には使えません。

棕櫚皮箒は原料皮の良し悪しによって、箒の寿命や掃き心地が大きく変わり、良い原料皮が揃わなければ上質な棕櫚皮箒を作ることができません。惚れ惚れするような美しく上質な棕櫚皮が入荷すると、それを使って棕櫚皮箒を作るのが楽しみでしょうがなく嬉しくなります。
5月初旬頃から手の痛みや腫れが気になるようになったので、この1週間程は鬼毛箒・本鬼毛箒作りを少しペースダウンして様子をみながら仕事をしています。