引き続き本鬼毛9玉長柄箒作り「箒を合わせる」工程。持ち手の柄と棕櫚の境界部分を仕上げます。ここを「柄付け(えづけ)の意匠」とよんでいます。
柄付けの意匠は銅線と糸や棕櫚皮を組み合わせて、棕櫚鬼毛の切断面・小口や竹のクサビが見えないように覆い美しく丈夫に仕上げます。
昔から様々な意匠があり各箒店・各職人ごとに固有の意匠で仕上げていたそうで、ここを見ればどこで作られた棕櫚箒か分かるので銘の代わりであり、品質保証の役割もありました。柄付けの意匠は大変手間のかかる工程でもありますので、特別な品質の棕櫚箒以外には施されなかったようです。
私の意匠は、師匠の箒店で使っている意匠にひとすじ銅線巻を増やしたものです。銅線・蝋引き麻糸・美しい棕櫚皮でこしらえます。独り立ちの際に意匠を色々考えたのですが、箒全体の雰囲気を大きく変えずに製作を続けていきたいと考え、今の意匠に決めました。
もし柄付けの意匠を施さない場合は、銅線や糸を一定の間隔をあけて何段か巻き締めて仕上げとします。これは棕櫚皮箒や量産型の鬼毛箒の作り方として一般的で、棕櫚の切断面を隠さないので、小口や中の竹のクサビが見える仕上げとなり、また固有の意匠ではないので製造元の特定は難しくなります。
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