引き続き、鬼毛箒(タイシ箒)7玉長柄箒作り。
4月・5月は温度・湿度の変動が激しく、急な乾燥などで棕櫚繊維にクセやカールが出やすくまとまりにくくなります。師匠はよく「この時分が一年で一番、鬼毛箒が作りにくい」とぼやいていました。
特に上質で太く丈夫でコシのある棕櫚繊維ほど、温度・湿度変化による毛先のハネや穂先の広がりが出やすい傾向にあり、我が家の棕櫚箒の毛先もカールしてまとまりの悪い日があります。適度な湿度になれば自然と元に戻るのですが、お客様にお届けした棕櫚箒の穂先もこの時期は広がっているのではないかと案じています。
棕櫚箒穂先の広がりを抑え常にまとまった状態にするには、私は使っていないのですが「箒カバー」がよいようです。先人たちは、お気に入りのおしゃれな手ぬぐいを棕櫚部分にぐるっと巻いてクリップや安全ピンで留めて箒カバーにしていました。裁縫の得意な方は、手ぬぐいのような薄く通気性の良い布を使って、竹柄を通して棕櫚部分にスッポリかぶせる袋を縫って使っていました(竹柄を通す穴と底が開いた袋状、またはキンチャク袋の底が開いたような形)。