江戸時代の棕櫚箒をご紹介します。絵師金蔵=絵金(1812-1876年)画の芝居絵屏風「木下蔭狭間合戦(このしたかげはざまがっせん)石川五右衛門(いしかわごえもん)」。一部分に棕櫚皮長柄箒が描かれています。
石川五右衛門の仔分が手に持つ棕櫚皮箒で、別の男性の頭を思い切り押さえつけています。私は勉強不足でこの衝撃的な絵の状況を説明できませんので、また今後詳しく調べたいと思います。

江戸時代の棕櫚箒-絵金画(部分)
江戸時代の棕櫚箒-絵金画(部分)

幕末の慶応年間頃(1865年~1867年頃)の絵のようなので、以前にご紹介した「昔の棕櫚箒(江戸時代)1(1801-1803年)」「昔の棕櫚箒(江戸時代)2(1690-1691年)」よりも新しい棕櫚箒ということになります。
まだ実物の絵を拝見できていないので確かな事は言えないのですが、絵金さんの描いた棕櫚皮箒は、上述の「昔の棕櫚箒(江戸時代)1・2」に描かれている薄く簡素な作りの棕櫚箒と異なり、現在製作しているものと形・様式がよく似ているように見えます。つまり、玉(小さな棕櫚束)をいくつか組み合わせた構造をしているように見えるのですが、どうでしょうか。
実は、棕櫚箒の形が、簡素な構造からいつごろ現在のような姿に変わったのかはっきりしませんので、もしこの絵の棕櫚箒が玉を組み合わせて出来ているとしたら、棕櫚箒の変遷を知るうえで重要な手がかりになります。もちろん私の個人的な興味なので、他に誰が興味あるのか?という話ではありますが。
これも個人的な趣味として近い将来、江戸時代の絵画の中の棕櫚箒を再現製作したいと考えていますので、これはぜひぜひ間近で詳細に拝見したい絵画の一つです。

なお、芝居絵屏風(高知県保護有形文化財)を所蔵している高知県・赤岡町では「絵金蔵」での展示のほか、年に一度、以下の日時に商店街の家の軒先などで間近に見ることができるそうです。
毎年7月14・15日 須留田八幡宮神祭の夜 芝居絵屏風18点、
毎年7月第3土日開催「絵金祭り」の夜 芝居絵屏風23点が飾られるそうです。

出典:木下蔭狭間合戦 石川五右衛門(部分)/
絵師金蔵(絵金)画/
二曲一隻屏風/紙本着色/176.0×161.0cm/赤岡町本町二区所蔵
「絵金蔵 収蔵品目録」(2005) /発行 赤岡町(高知県)/p.28-29
絵金蔵ホームページ