棒束子[キリワラ]作り。本鬼毛箒の製作を何日も続けると腕肩に相当な負担がかかりますので、別の軽作業や棕櫚荒神箒・小箒の製作に切り替えて、腕肩の様子を見つつ製作を進めていきます。大きな座敷箒から手の平サイズの小箒まで、多種類の棕櫚箒作りを学んだことが意外な形で役に立ちました。
弟子の頃に師匠と話し合い、将来一人で製作・修理対応することを想定して多種類の製法を学ぶことにしたのですが、それはこの地域の棕櫚箒職人としてはとても珍しいことだったそうです。それまでの棕櫚箒職人の多くは、座敷箒なら9玉長柄箒専門とか鬼毛箒専門・皮箒専門とか、荒神箒・小箒専門など、一種類から多くても数種類、しかも同じくらいのサイズの棕櫚箒だけを製造していたそうです。その方が効率良く同じ棕櫚箒を数多く作れるからです。箒職人の数が減るとともに、師匠に依頼される棕櫚箒の種類が徐々に増えていき、やがて多種類を製作するようになっていったそうです。
- 素材を生かし無駄なく使うこと
- 棕櫚鬼毛(本鬼毛・タチケ)の選別