製作風景-【棕櫚箒】皮5玉手箒・上
製作風景-【棕櫚箒】皮5玉手箒・上

【棕櫚箒】棕櫚皮5玉手箒・上(じょう)の製作。

製作風景-【棕櫚箒】皮5玉手箒・上
製作風景-【棕櫚箒】皮5玉手箒・上

写っている白い紐は「引き紐」とよばれています。このように、引き紐に体重を乗せて力いっぱい仮締めしつつ、手を使って銅線や糸で縛る棕櫚箒の作り方は、江戸時代から変わらないといわれている伝統製法です(1690年頃の箒師を描いた絵には引き紐は描かれていませんが、師匠は「今やっているような、引き紐を使った棕櫚箒の作り方は近所の先輩職人がやっていたのとまったく同じで、江戸時代から変わっていない作り方だ」と言っていました。ただし結束素材については、江戸時代の棕櫚箒は金属線ではなく、糸や棕櫚縄で縛っていたと考えられています)。

引き紐を使う伝統製法にはそれなりの利点もあるのですが、手・体への負担が大きいので現代ではあまり見かけない技法になってきました。近年の縛り方の主流は、利き手に持ったペンチで銅やステンレスなどの針金を掴んで引いて締める、このあたりで「直締め(じかじめ)」とよばれる方法です。とはいえ、私は引き紐での製法に慣れているので、おそらく師匠と同じく、引き紐を使った作り方をずっと続けるだろうと思います。