引き続き【棕櫚箒】本鬼毛9玉長柄箒のパーツとなる玉(束)をこしらえる工程。あらかじめ1本ずつ抜き集めて揃えた棕櫚本鬼毛・タチケを幾層か重ね、きつく束ねていきます。
9玉長柄箒は名前の通り9つの棕櫚束で構成されます。内訳は、小玉(しょうだま)という小さい玉を6つ、両端の太く厚みのある耳玉(みみだま)2つと、箒中央の持ち手が付いた大きい玉1つ、の計9玉です。まずは小玉6つをこしらえ、箒に組み立てる際と同じ順番に並べ、太さ・厚み等をチェック。どれも同じように見えますが、それぞれ微調整してこしらえるのが師匠の代から変わらないこだわりです。すべて同じに作らないのには、もちろんそれなりの意味・理由があります。
各玉の端に「足巻き(あしまき)」をします。クジリ(千枚通し)を使って玉表層の本鬼毛を1~2本ずつ一周分すくい、銅線で断続的に硬く巻き締め、作業台に埋め込んだ鉄板の上にのせ玄翁で叩いて形を整えます。
足巻きの良し悪しは、棕櫚箒の良し悪しと密接に関わるため特に神経を使う工程です。
1月末にケガした右手人差し指はまだ爪が傷みあまり使えないので、中指など他の指を使い、いつもと仕上りが変わらぬよう慎重に製作を進めています。