製作風景-【準備】鬼毛の毛ごしらえ
製作風景-【準備】鬼毛の毛ごしらえ

夜には雨が降り荒れ模様という天気予報だからか、朝から暖かく風があったので、予定変更して棕櫚繊維(タイシ)の下準備「毛ごしらえ」をしました。
入荷したままの棕櫚繊維は、梱包時の縛り癖が付き棕櫚粉など汚れも不着しているため、そのままでは棕櫚箒作りに使えません。まずは水に浸け汚れを落とすとともに、毛捌き機(けさばきき)のローラーに通してまっすぐに伸ばし整えていきます。
この毛捌き機は中古で手に入れた古い機械の割に(毛捌き機自体がもう製造されていないのです)状態はとても良いのですが、どういう訳か棕櫚繊維がローラーに巻き付きやすいという厄介なクセがあります。師匠が使っていた毛捌き機はそんなことはありませんでしたので、この機械固有のクセなのでしょう。この時もし棕櫚繊維が手に絡み、指ごとローラーに巻き込まれると大怪我になりますので気を付けて作業をしています。昔から多くの職人がこの機械で怪我をしていますので、師匠からも「毛捌き機を使う時は手元に集中して、万一作業中に誰かに話しかけられても絶対に振り向かず、目を離さないこと」と教えられました。