製作風景-【棕櫚箒】黒竹と工房
製作風景-【棕櫚箒】黒竹と工房

棕櫚箒の持ち手・柄(え)に使用する黒竹が入荷しました。竹の伐採時期には旬があり、年中入荷するものではありませんので、毎年まとまった数を一度に注文しています。
いつも使用しているこの黒竹は和歌山県日高町で栽培・加工している特産品です。栽培・伐採された黒竹は、火で炙り油抜きをし、曲がりを矯正する加工を経て出荷されています。
私一人の力では棕櫚箒作りは出来ません。黒竹やヒノキ丸棒、棕櫚原料、銅線や鋲や麻糸などを作ってくださる多くの方々のお陰で製作を続けることができます。有り難いです。

黒竹の黒い色は天然の色で、決して人工的に染めているのではなく、山に生えている時から黒色をした竹です。日当たりや環境により変化する自然の色なので、色ムラや斑紋など黒竹それぞれに個性があり、それが面白く楽しみでもあります。中には、つる植物が巻き付いていた跡が螺旋模様になって残っている珍しい模様の黒竹もあります。
今回入荷した今年の黒竹は、天候の影響でしょうか、例年と比べ少し色が薄いものが多いような気がします。とはいえ美しいです。近年は天然の黒竹を真似て、白竹に人工的に黒色をつけた黒竹風(?)染竹というものもよく見かけますが、色、何より質感や美しさは天然の黒竹にはかないません。