製作風景-棕櫚皮の選別
製作風景-棕櫚皮の選別

引き続き、棕櫚皮箒(品質・特選)の原料となる棕櫚皮の選別。一枚ずつ広げて見ていきます。前掛けの上には棕櫚皮から落ちた棕櫚粉がたくさん付いています。
当店の棕櫚皮箒は仕上げ工程で棕櫚粉を出来るだけ除去してからお届けしますので、完成品の皮箒の穂先からこんな風にたくさんの棕櫚粉が落ちることはありません。(それでも新品の皮箒は、どうしても取り切れなかった棕櫚粉が多少出ます。たいてい1~4回掃き掃除するうちにほとんど気にならなくなるようです。)

完成品の棕櫚箒は綺麗なので、棕櫚箒職人の仕事も綺麗な仕事だと思われる事があるのですが、棕櫚皮箒は製作中このような微細な棕櫚粉が空気中に舞い作業場全体が汚れますし、当然、作っている職人も頭のてっぺんから全身が棕櫚粉まみれ、吸い込んでもいます。師匠によると棕櫚粉は無害だそうで、このために病気になった職人はこれまでいないそうです。
ここ数十年は全国的に汚れない綺麗な仕事が好まれる傾向にあり、師匠は皮箒製作中の棕櫚粉は棕櫚箒職人が減少した原因の一つと考えていました。幸い私は汚れる仕事が好きです。遠い産地の棕櫚木から剥かれた皮を美しく磨いて、綺麗な棕櫚皮箒に加工する仕事に喜びを感じています。