特殊な棕櫚箒(棕櫚タワシ)「茶釜洗い/ツリガネ型」を作ります。
茶釜洗いは、茶道具・水屋道具の一つで、茶釜の底を洗うためのタワシのような道具です。棕櫚皮で作ります。形が釣鐘に似ているので「ツリガネ型」とよばれています。作る順番に画像を7枚掲載します。
画像1枚目、右手で持っているのは見本の茶釜洗いです。左手で触っている棕櫚皮を表皮に使い見本と同じ品を作ります。

製作風景-【棕櫚箒】茶釜洗い/ツリガネ型
製作風景-【棕櫚箒】茶釜洗い/ツリガネ型

茶釜洗いの正式名称は分からないのですが、師匠は「茶釜の底洗い・茶釜洗い・茶釜洗い束子(たわし)」などとよんでいました。これもいつの時代に誰が考案した物か伝わっていません。
茶釜洗いの何が特殊かといいますと、他の棕櫚箒は堅牢で使いやすいことを重視した実用の道具であるのに対し、茶釜洗いは実用品としての強度よりも見た目の美しさを重視した棕櫚製品だという点で、美しい棕櫚皮を使い作りも綺麗なのですが、使い続けると他の棕櫚製品ほど長持ちはしないのです。
画像2枚目、茶釜洗いは穂先の密度・ボリュームが重要です。右手の見本と、左手の今から縛る棕櫚束の厚みが同じになっているかどうか、手で握った感覚で確認しています。

製作風景-【棕櫚箒】茶釜洗い/ツリガネ型
製作風景-【棕櫚箒】茶釜洗い/ツリガネ型

師匠によれば、似た使い方をする棕櫚棒束子(キリワラ)や亀の子束子の方がずっと丈夫で長持ちしますが、茶道の美意識にそれらは合わないので、もっと素材を生かした簡素で美しい佇まいの棕櫚束子を求めて作られたのだろう、とのことでした。昔は使う茶人の方の好みや、水屋道具の納まりが美しくなるように、長さや太さ・形を特注で受けていたようだ、とも聞きました。今もご要望があれば特注を承ります。茶道の事や茶釜洗いの事は、詳しい方や使ってくださっている方に詳しく教えていただきたい事の一つです。
画像3枚目、下の台に置いた見本を見ながら縛っていきます。

製作風景-【棕櫚箒】茶釜洗い/ツリガネ型
製作風景-【棕櫚箒】茶釜洗い/ツリガネ型

画像4枚目、茶釜洗い/ツリガネ型の特徴的な部分、吊紐を作ります。本体と吊紐はつながった1枚の皮で出来ています。本体を足で挟んで固定し、手に水をつけて、縄を綯う要領で棕櫚皮をより合わせます。

製作風景-【棕櫚箒】茶釜洗い/ツリガネ型
製作風景-【棕櫚箒】茶釜洗い/ツリガネ型

画像5枚目、縄状に綯ったら、曲げて吊紐の形を作り縛って固定していきます。

製作風景-【棕櫚箒】茶釜洗い/ツリガネ型
製作風景-【棕櫚箒】茶釜洗い/ツリガネ型

画像6枚目、下の見本と同じように、順番に銅線で縛ります。

製作風景-【棕櫚箒】茶釜洗い/ツリガネ型
製作風景-【棕櫚箒】茶釜洗い/ツリガネ型

画像7枚目、完成です。水で濡らし、左の熊手で穂先をほぐし、鋏で切り揃え自然乾燥させます。

製作風景-【棕櫚箒】茶釜洗い/ツリガネ型
製作風景-【棕櫚箒】茶釜洗い/ツリガネ型

はじめて作り方を教わった時も、その後何度作っても、これを考案した人はすごいな、よく考えられた棕櫚小箒(タワシ)だな、と感心してしまう興味深い棕櫚製品です。