あらかじめ選別・分類した棕櫚皮は、左手側に山積みにし、棕櫚皮箒作りをはじめます。
再度、皮に傷などないか丁寧にチェックし、鋏を入れて玉に加工していきます。
同じ上質な1枚の棕櫚皮でも、どこに鋏を入れるかによっては、素材の良い所を適所に生かせず、完成品の箒の品質に大きく影響します。
弟子入り当初、師匠夫妻が選別した上質な棕櫚皮を用意してくださったものの、見習いの自分が切る場所を間違えて取り返しのつかない失敗をするのではないかと思うと、怖くてなかなか鋏を入れることができませんでした。ほんの一握りしか採れない上質な棕櫚皮を無駄にしたくありません。どんな棕櫚皮を何枚、どこを切り、どう使い、どこまでどのようにほぐした結果、完成した箒の仕上りがどう違ったか、考えること・実践・観察・経験を繰り返していきます。