製作風景-【準備】ヒノキ柄(持ち手)
製作風景-【準備】ヒノキ柄(持ち手)

連休中のここ数日もどこにも出かけず、持ち手となるヒノキ丸棒の下準備をしました。1月末に右手人差し指に重量物が落下してケガした後、爪が変形した形で伸びてきているため傷は治っているのに多少の痛みがあり、まだ箒製作時に以前と同じようには出来ない動作があります。日常生活でもリモコンのボタンやカメラのシャッターボタンを、人差し指では痛くて押す事ができないでいます。

少し人差し指を休ませるには柄の準備はちょうど良いです。いつもヒノキ柄は、ある程度まとまった数を一度に下処理(?)しています。まず1本ずつ選別、曲がりや節をチェックし、端を切り落とし、既定の長さに切り、全体に紙やすりをかけ、拭きます。

製作風景-【準備】ヒノキ柄(持ち手)
製作風景-【準備】ヒノキ柄(持ち手)

箒の種類によって、持ち手も太さ・長さの違う数種類を用意しています。何度も手で触る柄、しかも掃除道具なので、長年使っても汚れが気にならないように塗装仕上げをしています。自然な風合いで(ピカピカツルツルでない)木の呼吸を妨げず汚れを防ぐガラス質塗料を塗り、乾燥したら紙やすりをかける、という工程を数回繰り返します。採用している木材用のガラス質塗料は木の食器やお弁当箱にも使われているものです。

製作風景-【準備】ヒノキ柄(持ち手)
製作風景-【準備】ヒノキ柄(持ち手)

棕櫚箒の柄(持ち手)素材は、師匠が「棕櫚の色に合って映りがいい(映える)」と好んで使ってきた黒竹(地元・和歌山県産)と、2012年から新たにラインナップに加えたヒノキの2種類があります(稀に他の柄材も使うことがあります。たまたま他素材でも持ちやすそうな柄材が入荷したり、柄の特注依頼があった場合など。最近では宮崎県や栃木県産の布袋竹を柄に使った棕櫚箒を製作)。弟子の頃から何度もお客様から「洋間に合う木柄の本格的な棕櫚箒も作ってほしい」と依頼があったものの、2012年以前は木柄を付けた棕櫚箒の前例がなく、師匠も「木柄はしない」と言い、長くご愛用いただく棕櫚箒に私が適当な木柄を付ける事は出来ませんので、お断りするしかありませんでした。お客様の強い気持ちにお応えしたくて、独り立ちしたら木柄の棕櫚箒にも挑戦してみたいと考えていました。木について調べ、種類はどうするか、塗装の必要があるのか無塗装か、漆塗りや柿渋塗、オイルはどうか等々、とても悩み試行錯誤しました。