【棕櫚箒】本鬼毛5玉小手箒[階段箒]作り。この小箒は5玉(束)で全長50cm程と、荒神箒・小箒の中では一番幅が広く長い箒です。それでも半柄の座敷箒で腰をかがめて使う片手箒(全長80cm前後)と比較すると小型なので「小手箒(しょうてぼうき)」、または、階段の掃除によく使われるので「階段箒」ともよばれています。ほかにも農家さんが野菜の種や豆を集めたり、製茶業の方が製茶の際に茶葉を集めるの等にも使われています。
本鬼毛荒神箒は、小さいながらも座敷箒の本鬼毛長柄箒と同じ原料(手で1本ずつ抜き集めた本鬼毛・タチケ)・同じ技法で製作する本格的な棕櫚箒です。作業終盤に、竹製のクサビを打ち込んで銅線を更に硬く締めていきます。竹製クサビで締めると、棕櫚箒を長年使用するうちに黒竹や棕櫚繊維が乾燥して若干縮んだ場合でも銅線が緩みにくく、棕櫚繊維が抜け落ちにくくなり箒が長持ちします。昔の職人さんたちが、棕櫚箒が長期使用されることを前提に考え出した知恵のひとつです。