製作風景-【棕櫚箒】本鬼毛長柄箒
製作風景-【棕櫚箒】本鬼毛長柄箒
製作風景-【棕櫚箒】本鬼毛長柄箒
製作風景-【棕櫚箒】本鬼毛長柄箒

【棕櫚箒】本鬼毛9玉長柄箒の玉(束)作りと、原料となる本物の鬼毛(本鬼毛・タチケ)の選別工程。意匠は蝋引き麻糸巻き(黒褐色)に黒竹柄。
あらかじめ1本ずつ手で選別した本鬼毛・タチケは、束ねて玉にする前に再度チェックし、変色や傷んだ部分などが見つかれば取り除き、すべての繊維の端を揃えていきます。そうして厳選した本物の鬼毛を幾層かに重ねて束ね、芯に少量の藁と棕櫚繊維を入れ、硬く縛って玉を作ります。

蝋(ろう)引き麻糸はレザークラフト・革細工などに使われている美しく丈夫な糸です。あらかじめ蝋をたっぷりしみ込ませてある麻糸で、落ち着いた色調・独特の光沢があります。棕櫚箒を作る際に思い切り引いても滅多に切れない丈夫な糸です。
師匠から伝え聞いた話でも、江戸時代の絵を見ても、古い時代の棕櫚箒を縛る素材は銅線や鉄等の針金ではなく、糸でした。当時の糸の材質が麻なのか木綿なのか、はたまた他の素材なのかは伝わっていないのですが、木綿糸を棕櫚箒作りに使った場合は強く引っ張ると切れてしまう事が多いため、昔作られていた棕櫚箒も麻糸巻きだったのではないかと想像しています。
機会があれば歴史の専門家に江戸時代やそれ以前の一般的な糸の材質や流通事情を教えていただきたいと思っています。