棕櫚皮5玉手箒の、箒穂先になる部分をほぐします。棕櫚皮箒の穂先を水で濡らしてほぐす工程は「捌く(さばく)」といいます。画像の熊手を使って手作業で仕上げていきます。
捌く工程は、師匠が若い頃に試行錯誤した結果、穂先を少しだけ機械で捌き、その後で手仕上げするという工程になり、私もそのようにしています。少し機械で捌いてから熊手でほぐしても、やはり手間と時間のかかる力仕事なので、今となっては機械だけで仕上げられている棕櫚皮箒の方が一般的です。今もどうしても手仕上げにこだわるのは、皮箒の見た目の美しさのためだけでなく、掃き心地の微調整が手作業でないと出来ないからです。
「今は少し機械を使っているが、かつて機械のない時代は熊手を使って手で捌いていたし、本当はその方が棕櫚繊維が切れにくくてよい」と師匠から聞き、私も一時期機械を使わずに熊手だけで捌くことに挑戦していました。皮箒1、2本捌くだけでも、息が切れ汗だくになり、捌いた後はぐったり疲れます。特に棕櫚皮をたっぷり使う、厚みのある上質な箒ほど手作業だけで捌くのは大変でした。
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