黒竹とヒノキ柄を付けた【棕櫚箒】棕櫚のはたきの製作。私は、未選別の棕櫚繊維(タイシ)から鬼毛(本鬼毛・タチケ)を抜き取った後に残る、艶のある細く柔らかい棕櫚繊維だけを使用しています。昔はこの「鬼毛を抜き取った後に残る細く柔らかい棕櫚繊維」は近隣他社に買い取られ、それで棕櫚タワシや棕櫚紐などが作られる事もあったそうです。上質な柔らかい棕櫚タワシや美しい棕櫚紐が出来たそうです。
細く柔らかい繊維を幾層か重ね厚みを出し、束ねます。
この細く柔らかい棕櫚繊維は「二番毛」ともよばれていました。鬼毛(本鬼毛・タチケ)や、はじめて毛捌き機で毛ごしらえした時に手元に残る上質な棕櫚繊維が「一番毛」です。他に、毛捌き機にかけて、除去され飛ばされた細い繊維や短い繊維の事も「二番毛」とよんでいました。とはいえ、棕櫚箒作りの現場では鬼毛は「鬼毛・本鬼毛」とよばれ「一番毛」とはあまり言わなかったように思います。ごくたまに師匠が地元の業者さんなどと話をする中で鬼毛のことを「一番」とか「一番毛」と言っているのを聞いたことがある程度です。
先月ケガした右手人差し指は腫れが引き、見た目の違和感は爪に内出血が残る程度で、かなり曲がるようになりました。まだ、全力で締め上げる鬼毛箒など右手を強く圧迫する仕事は出来ませんが、はたきや荒神箒は製作できるようになってきました。