過去記事2017年7月2日に、棕櫚葉のハエ叩きを自宅用に作っている事をご紹介しました。今日は棕櫚葉のハエ叩きの作り方のうち「材料の準備」の様子を詳しくご紹介します。
ハエ叩き作りは本職の棕櫚箒作りとは関係がないので特に記事にはしてきませんでしたが、天気の良い休日に毎年欠かさず近所の棕櫚の木から棕櫚葉を数枚収穫して(画像1枚目)、ハエ叩きを作るための材料を準備しています。収穫した棕櫚葉はすぐに下処理して1年ほど自然乾燥させ、来年か再来年に棕櫚葉のハエ叩きを作るために使います。聞くところによると、棕櫚葉を採ったらすぐにハエ叩きに加工したいという方が多いようなのですが、しっかり乾燥させてからの方が作りやすいです。その理由は後ほど画像を交えてご紹介します。
葉は、高枝切り鋏で収穫しました。今年は、棕櫚木1本につき2~3枚程度採りました。もう少し採っても差支えないかもしれませんが、もし1本の棕櫚木から一度にたくさん葉を収穫してしまうと木が弱ってしまうので、くれぐれも採りすぎないようにしてください。
画像2枚目、収穫した棕櫚葉に昨年こしらえたハエ叩きを重ねてみました。このハエ叩きを見本にします。完成品のハエ叩きから数センチ余裕をみて、まず余分な葉先を鋏でザックリ切り落とします。葉軸は好みの長さに切ります。出来れば画像2~4枚目の作業は、棕櫚葉を収穫してすぐ、棕櫚木のそばでやる方が、その後で葉を家まで運搬する作業が楽になります。今回は暑かったので、大きな葉のまま家に持ち帰って切りました。
画像3枚目、葉軸の部分です。棕櫚葉の軸のフチに白く点々と細かな突起が並んでいます。この突起は硬く、小さなトゲのようで、この状態で葉軸を素手で握ると痛いくらいです。ハエ叩きの場合、ここをしっかり握って使いたいので、この小さな突起は必ず削り落とします。
画像4枚目は、画像3枚目に写っている葉軸のフチの小さなトゲのような突起を削り落としているところです。採りたての葉は葉軸もみずみずしく柔らかいので、葉先を切り落とすのに使った鋏をそのまま使い、葉軸のカドを面取りするように滑らせ、しごいて削るとトゲトゲは簡単に取れ、なめらかな手触りの葉軸になります。今回はたまたま剪定鋏を使っていますが、普通の文具鋏などでも大丈夫で、その場合は鋏の側面ではなく、刃を使って削るとよいと思います。
葉の汚れが気になる場合は、この段階で、タワシなどを使い水洗いして乾かします。
葉脈に沿って葉を裂いていきます。手で簡単に裂けるのですが、この時、あまり細かく裂きすぎると後で糸で縛る作業が大変になりますし、ハエ叩きにした時の強度も弱くなるように思いますので、程々に。
私は根元まで裂かずに、適当に途中まで裂いて、良しとしています。もしもっと裂く必要があれば、1年後に乾燥した葉をハエ叩きに加工する時に裂けばよいからです。
画像8枚目、棕櫚葉の端から端まで裂き終わりました。
縁側に腰かけて棕櫚葉を裂いている様子を、じっと見守っていてくれる愛犬はなちゃん。
収穫した分すべて裂き終わりました。
早く乾かしたいので、広げて天日干し。日中は外に干し、数日後におおよそ乾いたら、来年まで風通しの良い室内で自然乾燥させます。同じように見える葉でも乾燥すると蠅たたきに向いているものとそうでないものがあり、結局使えない場合もありますし(蠅たたきに向いていない棕櫚葉:例えば、乾燥すると葉軸が極端にねじれてしまった場合や、葉がちぎれてしまった場合など)、もし多めに出来たら知人に使ってもらったり、余れば再来年以降でも使えて無駄にはなりませんから毎年少し多めに収穫しています。
画像12枚目、参考に、一昨年に収穫した棕櫚葉を使い今年こしらえたハエ叩きです。断面を見ると、裂いた葉は乾燥して丸まって、こんなに細くなっています。
画像13枚目、比較のため、収穫し裂いて天日干ししたばかりの青い棕櫚葉に、画像12枚目のハエ叩きを重ねたところです。採りたての棕櫚葉の断面はほとんど丸まっておらず、空洞が大きく太いままなのが分かります。このようなフレッシュな青葉を糸で硬く縛って留めても、それなりにハエ叩きにはなりますが、これからどんどん葉の乾燥が進みますと、せっかく最初に留めた糸が緩んではずれてしまい、再度縛り直さねばならなくなりますから、かえって面倒なのです。もし棕櫚葉のハエ叩き作りに挑戦するなら、なるべくしっかり乾燥させた葉を用意して作ってみてください。
画像14枚目、乾燥させはじめて1週間ほど経過した様子です。初日(画像13枚目まで)と比べると、だいぶ葉が乾燥して細く丸まってきていますが、ハエ叩きに加工するには、まだまだ乾燥が足りない状態です。乾燥が進むと、広がっていた葉が自然に少し閉じてきます。あと何日か様子をみながら天日乾燥させて、葉の収縮が落ち着いたら来年まで室内乾燥にしようと思っています。後ろの花は萩です。