製作風景-【棕櫚箒】棕櫚二番毛の毛ごしらえ
製作風景-【棕櫚箒】棕櫚二番毛の毛ごしらえ

午前中は「二番毛」とよばれる棕櫚繊維の毛ごしらえ。この二番毛は、「未選別の棕櫚繊維(タイシ)」を毛ごしらえした際に毛捌き機(けさばきき)の後ろに飛ばされた短い繊維などです。二番毛は短いだけでなく繊維の向きがバラバラになっているので棕櫚箒の主原料には絶対に使いませんが、短くして箒の玉(束)の芯材などに利用します。

戦後は、棕櫚箒作りで出る端材やこういった二番毛を集めて、地元の多業種間で再利用する大きなサイクルが出来上がっていたそうです。棕櫚箒の端材や二番毛を買い取る地元業者さんがいて、棕櫚タワシや棕櫚紐・縄などを作る原料として活用されていたそうです。しかしその後、棕櫚製品を作る生産者自体が減り、また、原料としても二番毛を再利用するよりも、新しい原材料を使った方が製品作りがしやすいといった理由から、もう買い手も引き取り手もいなくなってしまいました。最後に二番毛の取引を見たのは、私が弟子の頃に地元の棕櫚縄関係の問屋さんが引き取って行った姿だったので、もう10年以上前の事かと思います。

午後からは引き続き、あらかじめ毛ごしらえ・自然乾燥を終えた「未選別の棕櫚繊維(タイシ)」束の中から本鬼毛箒の原料になる本鬼毛・タチケを、1本ずつ抜き出し数種に分類しながら揃える原料選別工程。