製作風景-【棕櫚箒】鬼毛箒(タイシ箒)長柄箒
製作風景-【棕櫚箒】鬼毛箒(タイシ箒)長柄箒
製作風景-【棕櫚箒】鬼毛箒(タイシ箒)長柄箒
製作風景-【棕櫚箒】鬼毛箒(タイシ箒)長柄箒

【棕櫚箒】鬼毛(タイシ)7玉長柄箒のパーツとなる玉(束)作り。意匠は麻糸巻き(リネン自然色)。原料の未選別の棕櫚繊維(タイシ)は、自然の棕櫚皮をほぐしただけのもので、長い繊維や短い繊維、太い繊維や細い繊維など、元の棕櫚皮を構成していたあらゆる棕櫚繊維が混在しています。

そのため、原料として既定の長さに切断してそのまま束ねてしまうと、繊維の端が不揃いなので穂先の厚みにバラつきが出ます。もし、掃く時に床に届かない棕櫚繊維が多数混在していると肝心の先端部分が薄くなり、掃き心地が柔らかすぎて頼りないし、繊維がバラバラで見た目も良くない、使いづらく長持ちしない箒になってしまいます。そのため当店では、あらかじめ短い棕櫚繊維などを手作業で取り除き、繊維端を手指で揃えてから束ねて玉にしています。

弟子の頃に師匠から聞いた話によると「昔の棕櫚繊維(タイシ)は長さや端がきちっと揃っていたから箒作りもしやすかった。もうそんな原料は長いこと入荷してない」 とのことでした。常に棕櫚原料の品質にバラつきがあり苦労していた師匠の棕櫚箒の作り方を見て一番感じたのは、第一に箒の品質を絶対に落とさないこと、そのために今手に入る原料を最大限に生かし手間を惜しまず最善を尽くすことでした。私も箒の品質を第一に、試行錯誤を繰り返しながら棕櫚箒を製作しています。