製作風景-【棕櫚箒】本鬼毛荒神箒
製作風景-【棕櫚箒】本鬼毛荒神箒

【棕櫚箒】本鬼毛荒神箒3玉共柄型の仕上げ乾燥。濡らして熊手をかけて毛流れを整え、穂先を切り揃え自然乾燥させます。

「共柄(ともえ)」型という箒は、持ち手に棒(黒竹柄やヒノキ柄)を付けない形の箒で、箒の穂先から持ち手までつながった棕櫚で出来ています。

製作風景-【棕櫚箒】本鬼毛荒神箒
製作風景-【棕櫚箒】本鬼毛荒神箒

経年乾燥しても緩みにくいように、竹製のクサビを打ち込んであります。銅線を巻く際に全力で締め上げたつもりでも、結構な本数の竹クサビが入ります。

本鬼毛製の荒神箒は小さいながらも、大きな本鬼毛座敷箒・長柄箒などと同じく、1本ずつ手選別して厳選した本鬼毛を原料にして作ります。

 製作風景-本鬼毛端材を棕櫚毛塗に生かせないか
製作風景-本鬼毛端材を棕櫚毛塗に生かせないか

穂先を切り揃えた時に出る本鬼毛の端材です。これを見て、繊維が揃っていて美しいな、人の手で1本ずつ選り分けないとこんな本鬼毛だけの端材は出来ないのだから何かに生かせたらいいのにな、棕櫚毛塗りなどに使えるんじゃないのかなと考えていました。棕櫚毛塗りは漆工芸の伝統技法のひとつです。漆を塗り重ねる際に棕櫚繊維を短く切ったものを蒔き、上から漆を塗り重ね、表面を磨いて平らにすると、塗りこめられた棕櫚繊維が模様となって浮かび上がります。

私はまだ棕櫚毛塗りは写真でしか見たことがありませんので、実際にどんな棕櫚繊維を使うのか分からないのですが、古くは日本刀の鞘(さや)などに、近年は時計の文字盤やアクセサリーなどに棕櫚毛塗が使われています。画像で見る限り、このような短く切られた棕櫚繊維が使われていました。

 製作風景-本鬼毛端材を棕櫚毛塗に生かせないか
製作風景-本鬼毛端材を棕櫚毛塗に生かせないか

以前、「棕櫚毛塗りをしてみたいので本鬼毛を譲ってほしい」という方に、長いままの本鬼毛をお送りしたことがあるのを思い出しました。その後どうされたのかおたずねしたいと思います。