棕櫚束子作りを復習
棕櫚束子作りを復習

町内の鉄工所さんに修理依頼していた古いタワシ巻き機が修理を終えて、11月26日に受け取りに行ってきました。師匠の代からお世話になっている鉄工所さんです。滅多にない機会なので、今回もう1台新しいタワシ巻き機も作っていただきました。修理の参考になるかもしれないと、ずっと町からお借りしていたタワシ巻き機1台も清掃・注油・調整して同日返却しました。

棕櫚束子作りを復習
棕櫚束子作りを復習

そして今日午前中は、紀美野町下佐々のYさんに棕櫚束子の巻き方を教えていただきました。Yさんは若い頃に仕事で棕櫚束子を巻いていた女性です。巻く工程を専門に担当されていたそうで、このような棒状に巻く仕事を毎日1000本あまりこなしていたそうです。1日8時間労働で計算すると、1時間に125本、30秒弱で1本を巻いていた事になります。

棕櫚束子作りを復習
棕櫚束子作りを復習

Yさんと出会ったきっかけは、先月24日に開催された紀美野町「農林商工まつり・柿の市」の束子巻き体験コーナーに私もお手伝いでお邪魔させいただいた際に、たまたまYさんがお客さんとして来られた事でした。目の前で圧巻の束子巻きの技を見せていただいたのに感激し、追いかけて思い切って声をかけさせていただいたところ、初対面にも関わらず、快く後日タワシの巻き方を教えていただけることになりました。

棕櫚束子作りを復習
棕櫚束子作りを復習

数十年前まで今の紀美野町や隣の海南市では、多くの女工さんがタワシ作りを仕事にしていました。会社務めの場合もあれば、各家庭での内職も盛んにおこなわれていました。材料は棕櫚だけでなく、パームやサイザル、化学繊維などの場合もあったそうです。私は弟子の間、箒の事しか学べませんでしたが、たまたま近所の方に旧式の束子巻き機をもらった事もあり、当時のタワシ作りの技も見てみたくて、ずっと元女工さんを探しています。

棕櫚束子作りを復習
棕櫚束子作りを復習

数年前にNHK和歌山で放送された昭和54年のアーカイブ映像で海南市のタワシ作りを見た事があり、当時の女工さんのタワシを巻くスピードやリズム・正確さに驚いたものでしたが、Yさんの早業はその映像の女工さんを彷彿とさせるものでした。アーカイブ映像の女工さんの動きがあまりに早かったので、映像が少し早回しになっているのではないかと疑っていましたが、そうではありませんでした。本当に驚くほど速いのです。

当時タワシ作りをしていた方の多くは高齢となり、今となっては当時の技術を見せていただく機会はほとんどなく、諦めかけていたところでした。今日Yさんに見せていただき教わった事は本当に勉強になりました。修理を終えた束子巻き機の調子も良く、お陰様で今日は綺麗な棕櫚束子が出来ました。