今日は先日に続き、紀美野町内の小中学校掃除用の棕櫚皮5玉手箒・上の納品最終日で下神野小学校へ行ってきました。これは紀美野町の事業のひとつで、町から町内5つの小中学校の子ども達に学校掃除用の棕櫚箒が贈られました。今回も写真撮影はできませんでしたので、先月これらの箒を製作中の画像を掲載しています。

町内小中学校用の【棕櫚箒】皮5玉手箒・上
町内小中学校用の【棕櫚箒】皮5玉手箒・上

今日も先生方と紀美野町産業課の職員さんご協力のお陰で、棕櫚箒を通じてたくさんの子ども達に出会うことができました。前回と同様にこの箒の成り立ちと使い方の説明と、製作中の動画を見ていただきました。下神野小学校の校歌は「棕櫚の葉風のさやさやと~」ではじまるそうで、かつてのこの地域と棕櫚の縁の深さがうかがえました。校歌冒頭に棕櫚が出てくるとはいえ、棕櫚箒がはじめて、という生徒さんがほとんどなのは他校と同じです。

町内小中学校用の【棕櫚箒】皮5玉手箒・上
町内小中学校用の【棕櫚箒】皮5玉手箒・上

今日で最終日となりましたが、今回の町の事業に協力させていただけた事は本当に良い経験になりました。師匠から受け継いだ棕櫚箒を地域の子ども達が再び学校掃除に使う機会を作っていただき、関係者の皆さまありがとうございました。子ども達がはじめて棕櫚箒を手にする瞬間に立ち会えたのは、作り手としてこの上ない幸せな体験でした。毎日の学校掃除で箒がどんなふうに変化していくのか今後の楽しみです。

[補足]これら小中学校用に製作した「棕櫚皮5玉手箒・上」は、通常定番商品として製作している同じ型の手箒とは仕様や品質が異なるため、誰でも一目で区別がつくように、銅線だけでなく一部に黒麻糸を巻いた意匠で仕上げました。今回、学校用箒として出来るだけコストを抑えるため通常品には使わない黒竹を付け、小中学生のために軽量化することを重視し、棕櫚皮の量を通常よりも減らしたり特に軽い黒竹を選んだりしています。そのため通常品よりも耐久性では劣るかもしれません。師匠が数十年前に学校用の同型手箒を製作した際も、あえて通常品とは違う品質にした、と話してくださった事がありました。その当時の工夫や苦労話を参考にさせていただきました。