製作風景-【棕櫚箒】本鬼毛長柄箒

製作風景-【棕櫚箒】本鬼毛長柄箒

引き続き、バラバラに製作してきた棕櫚本鬼毛の玉(束)を【棕櫚箒】本鬼毛7玉長柄箒の形に組み立てる「箒を合わせる」工程。意匠は銅線とリネン色麻糸の組み合わせ、持ち手はヒノキ。
長柄箒中央になる玉=ヒノキ柄を付けた「柄付けの玉(えづけのたま)」にコウガイ(太い竹串) を通し、各玉の足巻き(あしまき)の端と黒竹柄の接合部になるべく隙間が出来ないように注意しながら銅線で固定していきます。

製作風景-【棕櫚箒】本鬼毛長柄箒

製作風景-【棕櫚箒】本鬼毛長柄箒

リネン色の麻糸と銅線と棕櫚皮で持ち手の柄と棕櫚の境界部分「柄付け(えづけ)の意匠」をこしらえ、銅鋲や真鍮釘を打ち、両端の余分なコウガイ(太い竹串) を切断。

製作風景-【棕櫚箒】本鬼毛長柄箒
製作風景-【棕櫚箒】本鬼毛長柄箒

続けて、仕上げ工程。 穂先を水で濡らし「熊手(くまで)をかける」工程 。短い毛や抜け毛などを取り除き、毛流れを整えたら、本鬼毛製の仕上げ用小箒(仕上ブラシ)で梳かし整える「箒を磨く」工程。その後、穂先を真っ直ぐに切り揃え、自然乾燥。

「柄付けの意匠」は銅線と糸や棕櫚皮を組み合わせて、棕櫚鬼毛の切断面・小口や竹のクサビが見えないように覆い美しく丈夫に仕上げるものです。
昔から様々な意匠があり各箒店・各職人ごとに固有の意匠で仕上げていたそうで、ここを見れば一目でどこで作られた棕櫚箒か分かるので銘の代わりでもあり、品質保証の役割もありました。柄付けの意匠は手間のかかる工程でもありますので、特別な品質の棕櫚箒以外には施されなかったようです。
私の柄付けの意匠は、師匠の箒店で使っている意匠にひとすじ銅線巻を増やしたものです。独り立ちの際に意匠を色々考えたのですが、箒全体の雰囲気を大きく変えずに製作を続けていきたいと考え、今の意匠に決めました。