【棕櫚箒】本鬼毛荒神箒5玉トサカ型/共柄(ともえ)作り。卓上など手元の掃除に使いやすい手のひらサイズ(少し大きめ)の棕櫚小箒です。
「共柄(ともえ)」という箒は、持ち手に棒(黒竹柄やヒノキ柄)を付けない形の箒で、箒の穂先から持ち手までつながった棕櫚で出来ています。トサカ型とは、箒の形がニワトリのトサカに似ていることから付いた名です。
昔からまったく同じような形の箒で4玉(束)の小箒(荒神箒4玉トサカ型)というのもあるのですが、私の師匠は四という数字があまり好きでなかったそうで、荒神箒は縁起をかついで5玉・3玉・1玉と決めて作っていました。私も同様にしています。
本鬼毛荒神箒の原料は、棕櫚繊維の中から1本ずつ選び出した本物の鬼毛を使い、本鬼毛座敷箒と同じ技法で製作しています。
厳選した棕櫚材を原料にした棕櫚箒は長年使用していただける箒です。しかし、長くご愛用いただくうちに棕櫚繊維の乾燥が進み、銅線で締めた部分が若干緩む場合があります。そこで、あらかじめ竹製のクサビを叩き込み銅線をさらに締めて仕上げておきます。左手で持っているあたり、箒の断面に白く写っているのが竹製クサビです。少しでも箒が使いやすく長持ちするように、との先人の工夫のひとつです。