製作風景-【棕櫚箒】黒竹
製作風景-【棕櫚箒】黒竹

棕櫚箒の持ち手・柄(え)に使用する黒竹の手入れ。普段は束ねて室内で保管している黒竹ですが、今日は比較的気温が低く空気が乾燥していたので、1本ずつ埃を拭いて、少し広げて風を通しました。高温になる夏の直射日光に晒すのは心配なので、ごく短時間で日陰に移動しました。
ここは山間地のためか基本的に湿度が高く、黒竹に限らず自然素材の原材料を保管するには時々手入れをした方が良いようです。

いつも使用しているこの黒竹は和歌山県日高町で栽培・加工されている和歌山県の特産品です。黒竹の黒い色は天然の色で、決して人工的に染めているのではなく、山に生えている時から黒色をした竹です。日当たりや環境により変化する自然の黒色で、色ムラや斑紋などそれぞれに個性があります。
近年はこれら天然の黒竹に似せて人工的に白竹に色を付けた染竹もありますが、染竹の色は時間が経つと退色・変色してしまいますし、天然の黒竹の持つ美しく深みのある色や質感とはまったく違います。
私の師匠は柄材には他種の竹も使用していましたが、特に和歌山の黒竹が「棕櫚の色が黒竹に良く映え、引き立てあって美しい」と好んで用いていました。