製作風景-【棕櫚箒】棕櫚皮長柄箒
製作風景-【棕櫚箒】棕櫚皮長柄箒

【棕櫚箒】棕櫚皮9玉長柄箒作り。パーツとなる玉(束)を棕櫚箒の形に組み合わせる「箒を合わせる」工程の後は、「熊手をかける」工程です。仕上げ工程のひとつの「熊手をかける」工程では、箒穂先となる各玉の半分程を鉄製の熊手を使ってほぐしていきます。

製作風景-【棕櫚箒】棕櫚皮長柄箒
製作風景-【棕櫚箒】棕櫚皮長柄箒

熊手をかけると抜け落ちる短い繊維を取り除き、鬼毛製の仕上げブラシで表面を磨き整え、穂先を鋏で真っ直ぐに切り揃えます。

製作風景-【棕櫚箒】棕櫚皮長柄箒
製作風景-【棕櫚箒】棕櫚皮長柄箒

熊手をかけ終わった後の床には、画像4枚目のようにたくさんの抜け落ちた短い繊維や繊維クズが溜まります。

製作風景-【棕櫚箒】棕櫚皮長柄箒
製作風景-【棕櫚箒】棕櫚皮長柄箒

余談ですが、画像4枚目の右上にちらりと写っている木のハンドルの付いた緑色の物は、棕櫚タワシを巻く道具です。
昔、こちら和歌山県紀美野町内ではタワシを巻く内職が盛んで、各家庭でこの道具を使って主に女性たちが一生懸命タワシを作っていました。
町内では主に80代以上の女性から「私も棕櫚タワシを巻く内職してたよ」という話をよく耳にします。
以前、町内の病院の待合室でたまたま居合わせたご婦人5人と話していたら、5人中3人が過去にタワシを巻く内職の経験者でしたので、かつては相当な数の人々がタワシ作りに携わっていたのでしょう。ご婦人の残りの2人のうち1人は「私は棕櫚やパームの荒神箒を作る内職をしてたよ」、もう1人は「私は鉄板箒(シダ箒のこと/機械で鉄板をプレスし、シダという植物繊維を挟んで作る庭箒。今でもホームセンターでよく見かけるタイプの庭箒)を作っていたよ」と言っていましたから、昔この地域が家庭用品・清掃道具の産地だった頃の勢いや規模が想像できました。しかしタワシや荒神箒作りの内職はずいぶん前になくなったそうで、今ではタワシを巻くこの道具も珍しい物になりつつあります。
これは近所に住んでいた知人の家にあったものを数年前にいただきました。ちなみに私は棕櫚タワシの作り方は正式に習ったことがありませんので、残念ながらこの道具は工房のインテリアのようになっています。