製作風景-【棕櫚箒】他社製の鬼毛箒の修理
製作風景-【棕櫚箒】他社製の鬼毛箒の修理

棕櫚鬼毛箒(他社製)の修理・修繕をします。修理の場合、ご依頼主の大切な思い出の品だったり、もしも直すことができれば子や孫に受け継いでほしいといった強い思いのこもったご相談が多く、加えて、長年使い込まれて損傷が大きかったり一点物だったりしますので、引き受ける際も取り組む時も非常に緊張します。
何日も前から箒を見ながら修理の段取りをあれこれシミュレーションし、頭の中で全工程が描けるようになってから修理に取り掛かるのですが、特に他社製の棕櫚箒の場合は師匠から受け継いだのとは製法や構造が異なったり、私たちが選ばないような素材が使われてる場合もあり、修理をはじめてみなければ分からない事や想像していなかった事に対応したりと困難が多いです。

製作風景-【棕櫚箒】他社製の鬼毛箒の修理
製作風景-【棕櫚箒】他社製の鬼毛箒の修理

修理依頼の箒は、長柄箒中央の棕櫚繊維が完全に抜け落ち、全体に緩みが出てグラグラになり掃けない状態になっていました。一部の黒糸が切れてなくなっていたり、銅線や黒糸が緩みほどけています。この棕櫚箒はかつて隣町の和歌山県海南市の職人さん夫婦が製造されたもので、これまでも何度か同様の症状により修理依頼を受けたことがあります。
今回の修理ではご依頼主の希望により、黒糸はすべて銅線に変更して締め直します。柄竹については元々使われている竹(「焼き竹」とよんでいる竹で、白竹に人工的に斑紋模様を付け塗料で光沢を出した竹)を再利用する予定でしたが、修理前に一部ヒビが見つかりましたので黒竹に差し替え修理することになりました。
まず棕櫚箒を完全分解するところからはじめます。修理は後日に続きます。