朝から天気が良かったので先日に続けて急遽、棕櫚繊維(タイシ)の下準備「毛ごしらえ」をしました。画像は自然乾燥させた棕櫚繊維を取り込んでいるところです。この時期の晴れ間に製作予定を変更して毛ごしらえをするのは、本格的な冬が来る前に出来れば一冬分の鬼毛・本鬼毛箒の原料を用意しておきたいからです。
棕櫚箒作りの仕事は本来は通年変わらない業務ができ、師匠の工房では冬に備えた準備など不要でした。私の場合はそうもいかない事情があります。

製作風景-【準備】鬼毛の毛ごしらえ
製作風景-【準備】鬼毛の毛ごしらえ

今お借りしている住居兼工房の中では工房に使える空間が限られており、本来は作業台のある部屋(いつもブログ写真に登場している箒製作部屋)内に設置したい毛捌き機が置けずに、離れた納屋の中に置かせてもらっています。納屋は3方向しか壁がない半外空間で寒い日はバケツの水が凍ってしまいますし、壁のないところをビニールカーテンで閉じ、中でストーブを焚いてもとても寒いのです。お湯を使っても濡れた手はすぐに冷たくなり、ただでさえ毛捌き機を扱うのは危険なのに、かじかんだ手で毛ごしらえ作業をするのは危なすぎます。そういうわけでこの時期は毛ごしらえと同時に棕櫚箒の製作を進めるという、いつもより少し慌ただしい日が増えます。
毛ごしらえを終えた棕櫚繊維はいつでも鬼毛箒・本鬼毛箒の製作に使えます。それがたくさん溜まっていくのは、安心するような嬉しいような気持ちもします。