作業場正面の壁面-喜多川歌麿の酩酊七変人の絵
作業場正面の壁面-喜多川歌麿の「酩酊の七変人」の絵

棕櫚箒を製作している席の正面、いつも作業中に見ている壁面です。製作見本にしている師匠の棕櫚箒や、自分で弟子時代に作った箒などのほか、大好きな浮世絵のコピーを飾っています。
1801~1803年頃に喜多川歌麿が描いた三枚一組の絵「酩酊の七変人」のうちの右側一枚。中央に棕櫚長柄箒が描かれています。エアギターならぬ「エアー三味線」。酔っ払いが棕櫚箒を三味線に見立て、バチの代わりに扇子でかき鳴らしながらご機嫌で歌っている楽しい絵です。

「酩酊の七変人(ずぶろくのしちへんじん)」/1801-1803年/喜多川歌麿

酩酊七変人(1801-1803)-喜多川歌麿-東京国立博物館 画像検索サイトより
酩酊の七変人(1801-1803)-喜多川歌麿-東京国立博物館 画像検索サイトより

作品名:「酩酊の七変人」または「酩酊七変人」
作者:喜多川歌麿
描かれた年代:享和年間(1801~1803年)
版元:山城屋籐右衛門
出典:東京国立博物館 研究情報アーカイブズ

(※工房壁面に飾っている絵は大英博物館のコレクション画像を出力したもの)

酩酊七変人(1801-1803)-喜多川歌麿-東京国立博物館 画像検索サイトより
酩酊七変人(1801-1803)-喜多川歌麿-東京国立博物館 画像検索サイトより

棕櫚箒に関する事なら何でも興味があるのですが、特に昔の棕櫚箒・歴史・変遷に興味があり、腕肩をいためて通院していた間にも色々と史料を調べていました。棕櫚箒が描かれている江戸時代の絵はいくつかあり、いつかそれらの再現・復元品を製作したいと思っています。きっとよい勉強になると思います。
ちなみに「酩酊の七変人」で酔っ払い達が飲んでいるのは、江戸時代に流行した銘酒「七ツ梅」という清酒なのだそう。女性がもたれかかっている酒樽の模様で分かるようです。当時、摂州伊丹(兵庫県伊丹市)あたりで醸された清酒が、こんな風に江戸で呑まれていたと想像すると楽しいです。(参考:七ツ梅については浜鶴福さんのホームページに詳しく載っています)